イギリスのオリンピック躍進の秘密
東京オリンピックが終わりました。
日本が金メダル27個と大活躍し、見応えのあるオリンピックでした。
前回のリオでは、日本は金メダル12個でした。2倍以上の獲得です。
まぁ、自国開催なのでこれぐらい獲れたということでしょうけど、他国で気になる国がありました。
それは、英国です。
今回、英国は4位の金メダル22個であり、ロシアより多くフランス・ドイツの2倍です。
米国・中国・ロシアはオリンピックの強国ですが、英国はそのロシアより上です。
いつの間に英国はオリンピックでこんなに金メダルが獲れる国になったのでしょうか?。
気になったので調べてみたところ、なかなか面白い理由がありました。
1.どの競技が強くなったのか
まずは、英国が金メダルを取得した競技は下記の通り。
競泳 | 4 |
近代五種 | 2 |
自転車 | 6 |
セーリング | 3 |
体操 | 1 |
飛び込み | 1 |
トライアスロン | 1 |
馬術 | 2 |
ボクシング | 2 |
ここでは、自転車の6個が目を引きます。
本来、自転車競技はフランス・イタリアが強い競技でした。
前回のリオでも、英国の金メダル27個のうち、自転車競技は6個です。
つまりは、自転車競技で金メダルを荒稼ぎしていたのです。
ちなみに、過去オリンピックの英国金メダル数は
1992 バルセロナ | 5 |
1996 アトランタ | 1 |
2000 シドニー | 11 |
2004 アテネ | 9 |
2008 北京 | 19 |
2012 ロンドン | 29 |
2016 リオデジャネイロ | 27 |
アテネでは、金メダル9個のうち2個が自転車競技でした、シドニーでは、金メダル11個のうち1個が自転車競技です。北京では、金メダル19個のうち8個が自転車競技となり、以後のオリンピックでは自転車競技にて多くの金メダルを獲得できるようになっています。
2.何故、英国は自転車競技が強くなったのか?
「何故、英国は自転車競技が強くなったのか?」、それは一人の男の役割が大きかったと言われています。
その人とは「デイブ・ブレイルスフォード」
2003年、英国自転車連盟は、それまで弱小だった英国自転車競技の監督にデイブ・ブレイルスフォードを任命します。
デイブ・ブレイルスフォードは、「わずかな改善の積み重ね」により、大きな進歩を生み出すという考え方を取り入れました。
例えば、「熟睡できるように枕を選手個別に持参する」「最適なマッサージジェルを常に探す」「感染症予防のため医師に手の洗い方の指導を受ける」など
細かい改善を積み上げる方式を採用しました。
結果として、これが英国の自転車競技躍進に繋がりました。
2008年以後、自転車競技で多くのメダルを取得するようになります。
そして、この方式はやがて「マージナル・ゲイン」と呼ばれるようになります。
3.マージナル・ゲイン
「大きなゴールを小さく分解して、一つひとつ改善して積み重ねていけば、大きく前進できるんです」
デイブ・ブレイルスフォードの言葉です。
ちなみにトヨタ式「カイゼン」として、主に製造現場にて無駄を省く取り組みが有名です。
ボトムアップとして、現場の人間が問題の改善を図るためにさまざまな知恵を出し合い、解決策を考えていきます。
マージナル・ゲインとカイゼンは、小さな事を継続して積み重ねるという部分では、共通しているのかもしれません。
また、どちらも思考法ではなく「結果を出している」という点も共通しています。
4.最後に
英国のメダル増加の秘密、いかがですか。
金メダル数が多い理由を調べると、マージナル・ゲインという考え方に辿り着いてしまうのは、なかなか面白いですね。
ちなみになんですが、実は自転車競技はドーピングの噂が絶えない、かなりグレーな競技のようです。実際、英国の自転車競技選手も過去にはグレイな部分があったようです。
ロシアもドーピングが理由で東京オリンピックで、ROCとして参加になってしまいました。MLBでは粘着物質の検査をすることになりました。
スポーツと不正、こちらも興味深い話ですけど別なお話ですね。
ここでは、英国の金メダル増はドーピングではなく「 マージナル・ゲイン 」という改善手法でメダルを増やしたということでした。